文書作成日:2019/11/20

相続税対策のひとつとして利用される相続時精算課税ですが、毎年どのくらいの人が申告しているのでしょうか。ここでは、国税庁発表の資料(※1)から、相続時精算課税の申告状況をみていきます。
相続時精算課税は、贈与時に、贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です(※2)。原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択でき、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。(※3)。
相続時精算課税は、2500万円までの贈与について贈与税が非課税となり、それを超える金額には一律で20%の税率で課税されます。暦年贈与に比べて一度にたくさんの贈与ができるメリットがあります。
上記資料から、直近10年間の相続時精算課税の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

相続時精算課税の申告人員は2009年の6.6万人をピークに、以降は5万人を下回る年が多くなっています。2018年には直近10年間で最も少ない、4.2万人となりました。申告人員のうち申告納税額がある方は毎年3〜4千人台で大きな変化はみられないことから、申告納税額がない方の数が減少していることがわかります。なお、申告人員に占める申告納税額がある方の割合は6〜9%程度です。
申告納税額は2009年から2015年までは190億〜240億円程度ですが、2016年以降はさらに高い額になっており、1人当たりの申告納税額が高くなっていることがうかがえます。
相続時精算課税について詳しくお知りになりたい方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
(※1)国税庁「平成30年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」
2019年(令和元年)5月に発表された資料です。申告人員は各年分、翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。
(※2)国税庁タックスアンサー 相続税 No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
(※3)国税庁タックスアンサー 相続税 No.4103 相続時精算課税の選択
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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