家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2023/10/20
市街化区域内の農地の売却

相続した市街化区域内の農地を、住宅用地として売却することは可能でしょうか。

Q
今月のご相談

 亡父が生前に畑として利用していた市街化区域内の土地を相続しました。今後、誰もこの土地を利用する予定がないため、私の代で売却することを検討しています。
 周辺は農地の多い地域ですが、近ごろでは戸建住宅が点在するようになりました。この土地を住宅用地として第三者へ売却することは可能でしょうか。また売却が可能な場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか。なお、水路は使用していませんが、親の代から土地改良区に毎年賦課金を支払っています。

A-1
ワンポイントアドバイス

 市街化区域内の農地であることから、土地改良区への地区除外申請手続きを行うとともに、農業委員会に対して農地転用の届出を行うことで、住宅用地として第三者への売却が可能となります。

A-2
詳細解説
1.土地改良区とは

 土地改良区とは、土地改良法に基づいて地域の農業関係者で組織され、農業用施設(水路、農道)等の整備(新設・更新)、農地の区画整理等の土地改良事業(維持管理も含みます)を行う団体をいいます。

 土地改良区が設立されると、その地域内の農業関係者全員が土地改良区の組合員とされ、当該組合員には、土地改良事業費の一部を賄うための賦課金の支払い義務が発生します。すでに農地として耕作しなくなり、農業用施設を利用しなくなった場合でも賦課金は徴収されます。

2.必要な手続き
(1)土地改良区への地区除外申請手続き

 売買による権利の移動を理由として、土地改良区への地区除外申請手続きを行う場合、土地改良法により決済金の支払いが義務付けられます。

 土地改良事業費は借入金や賦課金等でも賄われており、農地が転用で除外されれば、これら費用の一部を残りの組合員で負担していくことになります。そのため、今後の負担を少しでも軽減させるために農地転用する面積に応じて決済金が請求されます。

 決済金は土地改良区によって設定されますが、100〜200円/uが目安といわれています。管轄の土地改良区で決済金が確認できますので、それ以外にかかる費用の有無も含め事前にお問い合せされることをお勧めします。

(2)農業委員会に対する農地転用の届出

 農地転用とは、農地を住宅や駐車場等の農業以外の目的に転用することをいいます。
 市街化区域内の農地で転用と合わせ売買による権利の移動を行う場合、農業委員会に対して農地法第5条の届出が必要となります。届出は、譲受人(買主)・譲渡人(売主)によって行いますが、行政書士による代行も認められています。

 土地改良区への地区除外申請や農業委員会への農地転用の届出には、準備する書類も多岐にわたり時間と労力を費やします。売却の検討をした段階で、行政書士等の専門家に相談されるとよいでしょう。

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